未来のTimeをつくる男 vol.2 Takehiro Kikuchi

のない季節の火曜日、ザビエル・ルサブシャール率いるTimeのR&Dチームは、どんなに忙しくても全員でサイクリングする。スケジュールに余裕があるときは、全員で走る機会はさらに増える。選手から寄せられるフィードバックも、有限要素法や流体力学も欠かせないが、一緒にペダルを踏むことで悦びを共有することも欠かせないからだ。また、走ることによって取り組んでいる問題に新しいアプローチをするヒントを見つけるなど、サドルの上にいる時間が解決してくれることは多いという。

主要コンポーネントメーカーのロードバイク用ディスクブレーキが揃いました。工程派と否定派に分かれているようですが、将来的にはどうなるのでしょう?

ザビエル

どのような変化のプロセスを経るかは別として、やはり最終的にはディスクブレーキになると思います。まだ、ラインナップも拡充するでしょうし、現在の状況だけで判断できるものではないので、今後も様子を見ていくべきでしょう。

リムブレーキ or ディスクブレーキの違いはユーザーが想像する以上にメーカーにとっては大きな負担だと言う人もいます。だとすれば、同じ名前を冠していても、まったく異なるフレームだと言えるのではありませんか?

ザビエル

そうですね。フロントフォークは大きな構造変更をしています。また、左側のチェーンステーにしても従来とは大きく異なります。専用のブレーキ台座が必要になりますし、ブレーキの放熱対策にしても素材から考えねばなりません。

放熱用のヒートシンクをフロントフォークとチェーンステーに設けているメーカーもありますが、どれくらいの温度まで上昇するのですか?

ザビエル

制動を繰り返す状態では、徐々に温度が上昇して100℃近くまで上昇することが分かっています。ただ、この数値は我が社のテストにおけるデータであり、試験方法が異なれば異なるデータとなります。

熱対策をしていないフレームでは深刻なダメージを受けるという噂もありますが、ディスクブレーキモデルに施した具体的な対策は企業秘密ですか?

ザビエル

いいえ、そんなことはありません。放熱対策としては金属をインサートして、熱を素早く拡散できるようにしています。また、レジンも異なりますし、繊維の構成比率も変更してグラスファイバーを多めに採用していますので、安心して乗って下さい。

podium campに来日したグザヴィエとRight Place Right Timeコンセプトのイメージシーン

 

そこまで大きな変更をしているのなら、ほぼ違うモデルだと言っても過言ではない。

ザビエル

たとえば、サイロンというのはTimeのエアロロードバイクの名称です。確かにリムブレーキとディスクブレーキで構造に変更を加えてありますが、空気抵抗に関する形状はほぼ同じです。ですから、モデル名が一緒ということです。

さて、いよいよ時間がなくなってきたので、最後の質問です。10年後、ロードバイクはどのような進化を遂げていると思いますか? そして、普遍的に変わらないモノはなんだと思いますか?

ザビエル

間違いなく、素材やエレクトロニクスなどは進化するでしょう。でも、私たちが大切にすべきはTimeらしさだと考えます。それがナニかというのを話すのは、とてもむずかしいことです。ロードバイクの性能はフレームだけで決まるわけじゃないですし、みなさんが同じフレームで喜ぶわけでもありません。現在、私たちは“RIGHT PLACE RIGHT TIME”というコンセプトを掲げています。この理念の根本は、『それぞれのユーザーの目的や体力に合った、ふさわしいTimeがある』と考えているからです。

 

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