Condorはディスクブレーキ化を機にさらなる高みを目指す

昨今のロードバイク界におけるトレンドと言えば、エアロロード、そしてディスクブレーキである。前者については、スチールやアルミなどの金属よりも、造形的に自由度の高いカーボンが主流になりはじめたころから存在しており、各社がリリースしている最新のトップモデルは第4世代にあたる。UCIワールドツアーでは、エアロロードを駆る選手たちが平坦だけでなく山岳ステージやクラシックレースでも勝利を量産しており、そのパフォーマンスの高さが証明されている。

Photo/Takuji Hasegawa

ディスクブレーキについては、2018年のツール・ド・フランス開幕と時期を同じくしてUCIがこれを解禁し、有力チームが本格的に運用をスタートした。ホイール交換に時間を要すること、ニュートラルサポートが対応していないなどの理由により、まだレース業界内でも足並みは揃っていない。だが、各社の第4世代のエアロロードのほとんどはディスクブレーキを前提に設計されており、勝利数は増え続ける一方だ。それに、日本ではまだちらほら見掛ける程度だが、欧米ではロードバイクの新車販売台数の7~8割はすでにディスクブレーキ車というデータもある。ホイールメーカーもこのジャンルに注力しているのは明らかであり、こうした流れはもう変えられないだろう。

Avant Cyclesが代理店となり、70年以上もの歴史を有するロンドンの老舗ブランド、コンドルもそうした時代の流れを受けて、エアロロード系のフラッグシップLEGGERO Disc(レジェーロ)を投入した。簡単にラインナップをおさらいすると、レジェーロには55cmサイズでフレーム単体重量が400gも軽い〝SL〟というバリエーションモデルがあり、それぞれにリムブレーキとディスクブレーキ仕様を用意している。付け加えると、イギリスの老舗サドルメーカー〝ブルックス〟の創業150周年を記念した限定モデルも存在し、これはリムブレーキ仕様のみとなる。なお今回試乗したのは、スタンダードモデルのディスクブレーキ仕様だ。

ちょうど1年前、レジェーロのリムブレーキ仕様に試乗している。2018年シーズンを最後に活動を終了した同郷のコンチネンタルチーム〝JLTコンドル〟のカラーリングをまとったそれは、チームと同じカンパニョーロのコンポとホイールがアッセンブルされ、否応なしにテンションが高まった。プロが使う機材としてのシャープなレスポンスは今も記憶に新しく、ゆえにディスクブレーキ化によってその特徴がスポイルされてはいまいか(その多くが左右の剛性バランスの不自然感や重量増によるものだ)、試乗前は少なからず危惧していた。

価格/53万円(フレームのみ)

あらためてレジェーロディスクをチェックしてみよう。カムテール形状のシートチューブや薄く仕上げられたシートステーなど、基本的なスタイリングはリムブレーキ仕様を踏襲している。コンドルのラインナップ全てがそうであるように、フレームはイギリスで設計され、イタリアでハンドメイドされている。素材は日本製のカーボン繊維で、ナノカーボンテクノロジーを駆使している点もリムブレーキ仕様と共通だ。なお、フレームの単体重量はリム、ディスクともに塗装済みの55cmサイズで1250gを公称しており、この二つの仕様の重さが同じということに首を傾げる人もいるはず。いずれにせよ、これを重いと思う方はSLをどうぞ、というのがこの老舗メーカーのスタンスなのだろう。

試乗車はAvant Cyclesのスタッフが乗るオーナー車だ。コンポーネントはデュラエースとアルテグラ、その新旧が混在しているが、組み上がってからすでに数か月走り込んでいるとのことで、こちらとしてはむしろ安心感が高い。クランクセットにノーマルの53×39Tがアッセンブルされていたことからも、オーナーがどのレベルのレースに出ているかがうかがい知れるというものだ。

サドルに腰を落ち着けてペダルを踏み降ろすと、昨年試乗したレジェーロの記憶が鮮明に蘇ってきた。まるで脚とリヤタイヤの接地点が直結しているかのような、非常にクリアな加速フィールだ。ペダルへの入力に対して過不足なく、ただひたすらに忠実に速度を増していくさまは、ブレーキタイプの違いを問わずに驚くほど共通している。一般的にはディスクブレーキ化によって、左側のフォークブレードとチェーンステーが過剛性になりやすく、ダンシング時に左右でフィーリングが違うなどのネガが出やすいが、レジェーロにそうした現象はなし。これならプロ選手がリムブレーキからディスクブレーキ仕様に乗り換えても、違和感を覚えることはないはずだ。

ハンドリング、そしてブレーキングについては、スルーアクスルの採用による高剛性化の恩恵か、リムブレーキ仕様よりもさらにシャープになっている。アッセンブルされていたフルクラム・レーシングゼロとの相性も素晴らしく、狙った方向へ視線を送るだけでラインをトレースでき、しかも旋回中はミリ単位で軌道修正が可能だ。これだけ忠実に反応してくれる運動性を持ち合わせていれば、たとえレース中に前方で集団落車などがあったとしても、回避できる可能性はかなり高まるだろう。

一方で、リヤ三角もスルーアクスル化によって剛性が高まったためか、リムブレーキ仕様よりも路面追従性がわずかに低下したようで、路面の荒れた峠道の下りで突然バイクが弾かれてしまうことも。チューブレス運用のハッチンソン・フュージョン5のエア圧をアジャストすることで多少は緩和できたが、ややトリッキーとも言うべき反応に慣れるまでは、あまり無茶をすべきではないだろう。

各社の第4世代エアロロードの特徴となっている軽さや快適性、脚力が増したと錯覚させるほどの速さは持ち合わせないものの、それでも先頭集団でうまく立ち振る舞えるだけのポテンシャルを秘めているのは確かだ。乗りこなすことに喜びを見出せる、実に玄人好みな1台と言えるだろう。

Supported by Avant Cycles

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