軽さこそ正義
走らせてみるとLightWeightのメッセージは極めて明快だ。以前、リムブレーキ仕様のウルゲシュタルトにも乗ったが、メッセージに変わりはない。フレーム重量は830g(リム仕様は820g)+375g(フォーク)と、驚くほど軽いわけではない。それでもTimeのアルプデュエズ01よりも10gほど軽いのだから大したモノだ。さらに実際の重量以上に走らせたときの軽さが印象的なのだ。
たとえば、マドンやターマックが無機質で問答無用な速さだとすれば、ウルゲシュタルトは対極的だ。下ハンを持って、スタンディングで加速していくときの心地良さは、古典的な金属フレームの“加速が伸びる”感覚に近い。もちろん、加速感がいいと言っても、際立つのはホイールの良さであり、フレームは黒子だ。両者の剛性バランスは、ほんの少しだけフレームが弱い。そのためペダリングとウイップのタイミングが合うと、巷間言われる“バネ感”があじわえる。このフィーリングを新旧でいうなら、間違いなく古い。しかし、このテイストこそがヨーロピアンバイクの黄金期を支えてきた、エンスー好みな走行感だ。
ハンドリングは入力に対するレスポンスが早く、路面が荒れると落ち着きがない。俗にいう“ヒラヒラ”したハンドリングで、前さばきのいい味付けである。もう少し穏やかな挙動の方が万人受けするだろうが、安定性が強すぎるとスポーティーさは失われる。フォークコラム下側の径が1.5インチ、フォーククラウンの造形を見ても、ヘッドチューブ周りのたわみを嫌ったのは間違いない。だとすれば、ユーザーができるのはタイヤの選択や空気圧で自分の好みに近づけること。試乗車はコンチネンタル・5000の25Cが装着されていたが、これは悪くない選択だ。微細な振動を吸収し快適性も高かった。美味しいところの短いタイヤなので、相応の出費は覚悟した方がいい。