もっと上質なロードバイクライフのために Takehiro Kikuchi

もう、悪い自転車を探すほうがむつかしいとか、カラーリングが気に入った自転車を買えばいい……とか

そう言われるようになって、だいぶ時間が経ちます。だから、そろそろ新しいスタンダードが必要だと思いませんか? いつまでも、色が気に入ったヤツを……では、一生懸命、自転車を作っている人たちに失礼です。良し悪しの基準は時間と共に、常に動いています。

現在、ショップで販売されているロードバイクは、20年前からは考えられないほど、全体のレベルが高い。それ自体は、間違いなく歓迎すべきこと。しかし、ハズレはおろか、アタリもないという少し否定的なニュアンスも含まれています。

新しい機材を手にし、経験するのは楽しいことです。

カッコいいのに、メンテンスに手間ばかりかかるブレーキ、素材も価格もチープだけど、愛くるしいテールランプ……琴線に触れる要素はプロダクトや人によって様々です。最近のバイクは、どれも似たり寄ったりという人もいますが、手頃な5万円から、250万円近い最高級モデルまであり、ペダルを漕ぎ出せば、その違いは、だれだってすぐに分かります。

ただ、贅沢をすることが幸せとは限らないように、高級車に乗ることが、必ずしも楽しさに比例するのではありません。フレームやパーツの完成度が高まり、価格やグレードに相応しい性能を与えられるようになった今、ハズレや大当たりを見つけるのは、容易ではありません。

ほとんどの製品評価は「普通」だからです。

ただ、すべてが正当な評価を受けているとも思えません。視点を変えれば、もっと高く価値を認められるべき製品やブランドはたくさんあります。優れた映画や舞台にはイケメンの主役だけでなく、存在感があっていい味を出している名脇役も欠かせません。そして、その脇役の素晴らしさを理解できるのが、通と呼ばれる人たちです。

ロードバイクは歴史も長く、今の製品はほぼ完成形に近づいており、突然変異のような進化を遂げたりはしません。最新技術によって実用化が可能になったり、コンポのように統合的な設計によって、新しい機能を実現しています。同時に、1gでも重量は軽く、わずかでも精度は高いほうがいいといった普遍的な課題も残されています。次々に生み出される製品に、消化しきれないほどの情報……

今、必要とされているのは、量やスピードよりも、確かで上質な情報でしょう。“otona-lab.com”はAvant Cycleが提供する自転車に纏わるプロが書く、新しくて小さな媒体です。プロ(ライターとは限りません)にこだわるのは、多くの経験や知識を伴っていて、書き手の立ち位置がハッキリしているからです。

新製品のレビュー、インプレッション、インタビューや対談……やってみたいコンテンツはたくさんあります。とはいえ、有料サイトでもなく、広告もありませんから、ゆっくりとスタートします。ロードバイクに興味のある人が、一人でも多く集まる場所を作ることが大事です。たくさんの意見や疑問を聞いてみたいし、1つ疑問があったなら、正解を導きだすのではなく、応える人によって“答え”も違う、そんな形が望ましいと思います。

知識を身につけて、多くを経験すること。

この2つは、あなたのバイクライフを豊かにしてくれます。で、私たちにナニができるか? 今後の更新をみてください。

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